Route66 (Vega → Adrian → Glenrio, Texas → Tucumcari, New Mexico)

ここはテキサス州ベガ(Vega, Texas)近郊。朝日を背に大英帝国トライアンフ親父とテキサス親父(共にゴッドファーザーは私)が箱根駅伝よろしく、I-40上を伴走状態。
彼がバイクに跨る際、「飯食った？」とタモさんのように初対面の人間に馴れ馴れしく聞いたら、まだだとの事。どうやら彼のお目当てのカフェは、自分が行きたい所と同じだと判明しました。
袖振り合うも他生の縁。せっかくなので朝食もご一緒に・・

今走っているテキサス州北部は、「パンハンドル(panhandle)地方」と呼ばれる一帯。「フライパンの取っ手」とは、ここテキサスと言うよりも、州北部に柄のように張り出したオクラホマ(Oklahoma)州の形状がそれに似ているから付けられた愛称です。
テキサスは地域区分上「南部」とされ、夏は暑く冬も暖かい州の印象ですが、こう呼ばれる地方まで北上すると、さすがに冬は氷点下まで下がり、降雪も当たり前の一帯。
でも夏は他と同様暑い土地に変わりありません。気温が上昇し蒸し暑くなってきました(；´Д`A

Exit22、エイドリアン(Adrian)の町。みなロッキーのマネしながらたどり着くんかいな(　ﾟдﾟ)
小さな集落ですが、それでもシカゴ(Chicago)からサンタモニカ(Santa Monica)まで遥々連なる、ルート66(Route66)の中間地点として、名の知れた町です。
実際にはコースが何度か変更されたりして、本当にそうなのか疑わしいとの意見もありますが、何はともあれそれを主張してる看板がｶｺｲｲので、誰も文句は言わないのではないでしょうかｗ

上の看板の対面に位置するのは、ここも有名な、ミッドポイント・カフェ(Miidpoint Cafe)。
名物はアグリー・クラスト・パイなるスイーツ。ここが我々の「隠れ家的()笑」カフェ。
お腹すいた。店の中に入りましょう・・

どうやら早く着きすぎましたorz 「8時半開店だな。まだ1時間くらいある・・Boy, どうするよ？」
どっかの町でIHOP探さね？(´･ω･｀)　「IHOP? なんだそりゃ？」

後でわかった事ですが、なんでも2012年3月に先代の有名な女性オーナーが引退してしまい、既に代替わりしてしまったとの事。
そのフラン・ハウザーさん、この店を長い間細腕一つで切り盛りしていた有名な女将でしたが、実はカーズの重要人物(?)のうちの1台、フローのモデルになった人物でもありました・・
少し残念ですが、パッと見で綺麗に整備されてましたし、恐らく大丈夫でしょう。また来た時に、この「V-8カフェ」には、あらためて寄ることにしましょう・・

IHOPとは・・パンケーキ、目玉焼き、ベーコン、ソーセージ、スクランブルエッグ、フレンチトースト等、朝食メニューに特化した全米チェーンのレストラン。鎌倉のビルズみたいな処ですｗ
かつて関東と九州地方にも展開してましたが、かなり昔に撤退。再上陸を望みたいところです。

再びI-40の上。広大なテキサスももうすぐ見納め。間もなくニューメキシコ(New Mexico)州。
グレンリオ(Glenrio)なる集落へのランプがありますが、「Exit 0」の表記が見えるでしょうか。
町の真ん中に州境があるという事です。興味深いので、ちょっと降りてみましょう。

誘っておいて何ですけど、殆ど廃村なんですねここ（　・ω・）
「廃墟探訪」なる趣味があります。朽ち果てた建造物でも廃線、廃道、病院、地下壕、遊園地・・探検の対象は細分化され、写真集も発刊されたり、いつしかマイナーな分野でなくなりました。
しかし建造物とは実に不思議な物で、そこに居た人の意思を反映するように、人がいなくなるとすぐ外装が駄目になり、野に帰るんですよね・・あたかもそれ自体に意志があるかの如く。
だから廃屋はすぐわかりますが、自分が見た限り一軒、人の気配を感じる家屋が残ってました。
だからこそ、町へ降りるハイウェイのランプが、今もメンテされてるんでしょう。

「限界集落」という、悲しい言葉を思い出します。コミュニティが消滅する、一歩手前。
旧道ルート66を流しつつ、州境を跨ぎ東西に、家屋の跡を確認できました。
ご存知のように広いアメリカは国内で「時差」を設けており、このテキサス側は「中部標準時」、そしてニューメキシコ側は「山岳部標準時」。このラインは時差の境界でもあるわけです。
おそらく一昔前、かつての住民が会合をする度、「夕方5時に集合ですから」「どっちの5時よｗ」なんて会話があった筈です・・(´-ω-｀)
そういう妄想をしてみると、なんだか土地に念が残ってるように感じてしまいます・・

ハイウェイへ戻ります。こっちは予算があるのか豪華な造りの、ニューメキシコ州境のゲート。
という訳で面倒ですが、この旅でも州毎のタイムゾーンやサマータイム適用の有無で発生する、時差の問題を整理する事が必須です。
今回も一目で把握できるよう「早見表」を作成しました。以下参考にどうぞ。

州	都市、観光地	ﾀｲﾑｿﾞｰﾝ	ｻﾏｰﾀｲﾑ適用	時刻
テキサス	ダラス、アマリロ	CST	○	10:00
オクラホマ	オクラホマシティ	CST	○	10:00
ニューメキシコ	ﾎﾜｲﾄｻﾝｽﾞNM、ｱﾙﾊﾞｶｰｷ、ｻﾝﾀﾌｪ	MST	○	9:00
コロラド	フォーコーナーズ・モニュメント	MST	○	9:00
ユタ	ﾊﾞﾚｰ･ｵﾌﾞ･ｻﾞ･ｺﾞｯﾄﾞ、ｻﾞｲｵﾝNP	MST	○	9:00
アリゾナ(ｲﾝﾃﾞｨｱﾝ居留区)	モニュメントバレー	MST	○	9:00
アリゾナ	ペイジ	MST	×	8:00
ネバダ	ラスベガス、デスバレーNP	PST	○	8:00
カリフォルニア	サンフランシスコ、サンノゼ、LA	PST	○	8:00

・これもあくまで、今回の旅程の範囲内での表記です。
・上記の表はサマータイム期間内（3月第二日曜〜11月第一日曜）のみの記述です。
・タイムゾーンの表記：CST（中部標準時）、MST（山岳部標準時）、PST（太平洋標準時）
･NPはNational Park（国立公園)、NMはNational Monument(国定公園)の略

西へ向かう旅程はタイムゾーンを超える度、1時間ずつ日が長くなり、得した気分になります。
またアリゾナ州の特殊事情につきましては、追っておさらい致します(　･ω･)

ニューメキシコに入ってもまだ暫くは、テキサスとあまり変わらない「全方向地平線的」風景。
ハイウェイ脇にビルボードが林立すると集落が近い証。サンホン(San Jon)を通過しました。

徐々に風景に変化が生じてきました。間もなく大平原地帯グレートプレーンズの終焉。土の色も赤く変化し、起伏も目立ち、漂い始める荒野の気配。グランドサークル地帯は、もう少し先・・
左手に徐々に姿を現してくる凸状の山は、カタツムリみたいな名のトゥクムカリ(Tucumcari)山。その麓には、同名の町が横たわります。
ここもルート66を語るに欠かせない町。Exit335で一旦降りることにしましょう。

ハイウェイのランプを降りたら、どこぞの意味不明な「騎士」に歓迎されました。
この「Tucumcari Tonite」とは、ここに一泊してほしいと、町が考案したキャッチコピー。
ちなみに'Tonite'とは、'Tonight'のちょっとクダけた表現方法。どうせなら'2Nite'（2泊してよね）にした方がﾓｱﾍﾞﾀｰじゃない?ヽ(ﾟ∀ﾟ)ﾉﾋﾟｺｰﾝ いい事思いついたので提案してみましょうかｗ
あ、この騎士ってもしかしてナイト(Knight)か・・ヒネってるなｗｗ
どうやらここには、デーブ・スペクターみたいな奴がいるらしい・・クダけた町かも知れません。

この町で真っ先に立ち寄るべき所はここです。ブルースワロー・モーテル(Blue Swallow Motel)。ルート66が栄えた時代の面影を色濃く残す場所。
既に閉店したとの事前情報を鵜呑みにして、どうせ寂れてるんだろうと思っていたら、大変失礼しましたm(_ _)m そんな事はありませんでした。受付にいるのは、おそらくここの宿泊客。
嬉しい誤算。瑞々しくリニューアルされた様子で、現役感バリバリの雰囲気を漂わせています。

後ろに廻ると、関係者がサインボードを塗り替えてる様子。ゴンドラの上から挨拶され、こちらも「Fine Thank You !!」と返す、いかにもアメリカ的日常な、何となくいい光景。
(その後でのWeb上での調査で、現オーナーのKevinさんという方だと判明しました。)
こういう瞬間に立ち会えると、元気を分けてもらえるようで悪くありません。
しかしこういうのって、何かで見たような風景・・そうそう、思い出しました。
映画「バグダッド・カフェ」ですよ・・寂れた店を再び繁盛させようと、ハシゴに乗って店の給水塔を掃除するシーンがあるじゃないですか。DVDのパッケージの写真にもなってる、あれですｗ

「本気絵」感が半端ない、ジェームズ・ディーンも歓迎してくれる、トゥクムカリの街角。
Pixivに週一でUPすればきっとランクイン・・いや「萌え要素」がないと無理かあそこはｗ
'Tucumcari Tonite !'こういう絵がいろんな所に点在しています。実にいい「町おこし」。住民達がこの町をもっと良くしようとしてるのが、「手作り感」だからこそ、よく見てとれるよう・・
次はここに泊まってみようと思わせる、「熱さ」を感じさせられました。一押しです(　･ω･)