Interstate 15 (to Las Vegas)

公園奥地のナローズ(The Narrows)のトレイルから、バスでビジターセンターに戻り、
急いでザイオン国立公園(Zion National Park)をラスベガス(Las Vegas)に向けて出発しつつも、
既に夕方の4時半すぎ。
実際かなり慌てています。飯を喰う余裕すらない。なぜ慌てるのか？
ヘッドライトに幽かに浮かぶ車線だけを頼りに、真っ暗な夜のハイウェイを走りたくないからです。
こちらでは日本のような交通量も、前の車のテールライトも、道路の脇の街灯や反射灯すらも、
夜はまったく期待できませんから。

アメリカをドライブすると、自分が今どこの町にいるのかよくわからなくなったりします。
だいたい町に進入する直前に小さな標識が出てて、そこに町の名前が書いてあるのですが、
これを見落とすことも多いわけです。
町中の信号機のある交差点で見回してもわかりません。
そこを交差する通りの名前のみ、記述されてます。(Washington Ave.とか2nd St.とか)
そういう時は町中のガソリンスタンドか、ファーストフード店にでも入って
地図を片手に親切そうな人に「ここはどこ？」と一言聞いてみれば済むことなんですが、
少し辺りを見回して、こんな感じで「給水塔」が見えれば、
そこに町の名前が書いてあることも意外と多かったです。
ここはUT-9の途中、'La Verkin'の町。
ナローズの川歩きで汚れた靴の泥を落としつつスナップ。

UT-9から久しぶりの幹線、I-15にようやく合流しました。
ここはI-15に入ってすぐ、セント・ジョージ(St.George)の町にて。
先を急ぎつつも、沿線の町には興味津々なので、ちょっとランプを降りて町見してみました。
町を貫くメインストリートの脇に、カーショップとかファーマシーとか、
ファーストフードのチェーン店が立ち並ぶ姿は、
なんだか八王子郊外といった雰囲気で、日本でもありそうな光景です。

「アメリカのハイウェイから見える景色の雄大さには、最初誰でも驚くが、
2,3時間もすると誰しもそのうち飽きてくる」らしいのですが、
僕は全くそんなことはありませんでした。
はるか彼方まで伸びている、高架橋も盛り土もガードレールもなく、
地面に直接アスファルトを流して作ったと思われる、視界が極端に良い道。
中央分離帯を隔て、極端に離れて走る対向車線には、
絶えず行きかうコンボイにキャンピングカー、果てはトレーラーハウス。
呆れるほど広大で、大味かもしれませんが、
こんな単調な景色をクルーズできることに、心底幸せを感じてしまいました。

夕陽を受けながら走る対向車をぼんやり眺めてると、
「あの人達は、いったいどこに帰ろうとしてるんだろう」などと考えるようになります。
楽しい一方で、旅程もここまでくると、
そろそろ旅の終わりを意識する過程に入ってきます。
全く、こんな旅を続けると、感傷的になりすぎて良くありません。
そんな事よりも、眼前に沈む西日に視界を取られないように、
車線を失うことなく車をコントロールする事が第一です。
BGMはTom Waitsの'Ol 55'。
この陽が沈む頃に、ラスベガス到着でしょう。

ラスベガスｷﾀ━━━( ´∀`)･ω･) ﾟДﾟ)ﾟ∀ﾟ）･∀･)￣ー￣)´_ゝ`)−＿)ﾟ∋ﾟ)´Д｀)ﾟーﾟ)━━━!!!
陽が暮れてハイウェイを走るのは酷なので、なんとか薄暮のうちに着かないかなと
思ってると、なんとかなりました。
しかしここからが意外に遠い。
あと3分くらいで街中だろと思っても、街の端まで10分くらいかかります。
どうやら日本の広さの感覚が、アメリカでは通用しないようです。
想像以上に広い街です。

その街の端まで10分くらいの所、ノース・ラスベガスの郊外を、
どのランプでI-15から降りるか思案しつつスナップ。
押し寄せてくる光の波が実に綺麗です。

初心者のラスベガスの道路攻略法を2つ。
1)とにかくストラトスフィア・タワー(Stratosphere Tower)を目指す。
2)そこまで近づいたら次はLas Vegas Blvd.（通称'Strip')を目指す。
で、いくら渋滞していようがそこしか走らないことです。
ガイド・ブックの3D地図、有名なホテルの外観を頭に叩き込んだところで
そういうホテルはStripの一塊の地区にしか存在しませんし、
マンダレイ・ベイやベネシアンのように、いくら巨大なホテルが林立してるとはいえ、
意外と近くまでたどり着かなきゃ見えないものです。
でもストラトスフィア・タワーだけは、遮蔽物がなければどこからでも確認できます。
Stripが渋滞してたらラッキーだと思いましょう。
街並みを車の中からゆっくり観光できるのですから。
しかしラスベガスに至るまでの道のりは、荒涼とした景色が延々と続くだけに、
街並みの騒々しさとのギャップにただ、驚かされてしまいます。

今夜の宿は、ニューヨーク・ニューヨーク(NEWYORK NEWYORK)。
摩天楼の手前には絶叫マシン。なんだかよくわかりませんが凄い。
俺みたいなのがこんなスゴい所に泊まっていいのかと思うくらいのホテルでした。