Monument Valley (Part 1)

グランド・キャニオン東方のデザートビュー(Desert View)を後にして、
AZ-64を一路モニュメント・バレー(Monument Valley)へ。
この辺なんだか緑のワィンディング・ロードが続き、走ってて気持ちのいい道です。
なんだか車のCM撮影で走ってるような錯覚を覚えました。

そのAZ-64をデザートビューから15分ほど東進したところです。
こんな感じで物凄い光景が展開されます。
Little Colorado川が平原を削った峡谷ですが、ガイドブックにも記載されていませんから、
この光景には、グランド・キャニオンそのものよりも意外性を感じてしまいました。
それにしても呆れてしまうのは、近くのグランド・キャニオンが凄いからなのか、
このポイントには特に名も付けられてない事です。
もったいない・・こんなに凄い景色がもし日本にあったなら、
第一級の国立公園に指定されるでしょうに。

アメリカで道路工事に遭遇した時、どんなに先を急いでいてもイライラしてはいけません。
片側一車線がまるごと通行止めになり、対向車が通過するまで、約20分くらい待たされます。
その後、写真のような「フォロー・ミー・カー(Follow me Car)」に先導されて、徐行しながら
そこをやっと通過できるわけです。
待たされた場所から「小峡谷」が見える場所だからまだ良かった。
惜しむらくは、こんなに待たされるのがわかってるんだったら、
車を降りて、写真を撮りにいけばよかったということです。

AZ-64からUS-89に合流してしばらく、キャメロン(Cameron)の町のあたり。
先の写真のリトル・コロラド川小峡谷のあたりから、
ナバホ・インディアン居留区(Navajo Indian Reservation)に入ります。
意外と植生豊かだったグランド・キャニオンから、急に荒涼とした大地に変貌します。
これより先、US-160分岐点に至るまで、ペインテッド・デザート(Painted Desert)と呼ばれる
地層毎に異なる色をした、奇妙な台地の中をドライブします。

ペインテッド・デザート(Painted Desert)を露呈している台地の一部。
白、赤茶、灰、黄色等サンドイッチ状態で、実に色とりどりです。
どこか違う惑星をドライブしているような、これは本当に不思議な感覚です。
ネイティブ・アメリカンは、こんな所に住んでるかと、こんな世界もあるのかと、
自分の住んでる所とは全く対極な、異質の世界を垣間見てると、
まるで後頭部を鈍器で殴られたようなショックを覚えます。
グランドサークル巡礼の旅は、単に有名観光地だけを押さえるだけでは語れません。
思ってもみない所が、実に記憶に残ります。

US-89のキャメロン(Cameron)からUS-160のジャンクションまでは、
約15マイルと、決して長くない距離ですが、
少し走るたびに、全く違う顔を覗かせてくれる不思議な空間です。
大地が徐々に白味を帯びたかと思うと、急に赤色の大地に変貌したりします。
時折このように、大地に刻まれた蟻塚のような物も、視界の中に飛び込んできたりします。
一種の風紋なのかもしれませんが、よくわかりません。

US-89とUS-160のジャンクション付近。
ここで一端休憩、iPodのプレイリストも変更。
せっかくネイティブ・アメリカンの大地に到着したわけですから、
その血をひく、ロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)の音楽を流すことにしました。
高貴な土地には、高貴な音楽を聴かねば失礼ですから。

「音楽だからいろいろ経験できる。音楽はどこへでも連れてってくれる。
知らないところへ・・。肉体的にも、精神的にも。」
/ Word by Robbie Robertson

よく見ると、ネイティブ・アメリカンの住居が点在しています。
かつて白人との戦いで負けて、「人間の住む土地ではない」といわれたアメリカ西部へ
意思に反して追いやられた悲劇もありました。
そんな「涙の旅路」を、US-160に進路を取り、一路モニュメント・バレーへ移動します。

遙か彼方に連なる地平線に泣けてきます。
こんな風景の中を流せるなんて、ドライバー冥利につきるというものです。
たとえこの道がそこに繋がっていなくても、
ただこの道を走り続けることができれば、それもいいかなと、
そんな気もします。