Route 66 (Meteor Crater → Joseph City)

巨大隕石孔メテオ・クレーター(Meteor Crater)を後にし、I-40に戻り、さらに東へ移動します。
もうすでに18:00、すっかり陽の傾いた窓の外には、相変わらず長い地平線と、長い影。
今日の予定は、ここから50マイル先のホルブルック(Holbrook)の町まで辿りつく事。
初日に発生したようなトラブルもなく、今日はこれまでほぼ予定通り。もう少し頑張ります。

自分で言うのもなんですが、僕は事前にドライブの計画を綿密に立てます。
それはもう、全行程を記入した全体図と、各日程で訪ねる先と到着予定時間を記入した計画表を作成する所までやります。
サラリーマンの自分には、ウィークディを夏期休暇で固めた9日が精一杯。ここにも行きたいし、あそこにも行きたい。効率良く廻るにはどうしても設計図が必要です。だから計画します。
本当は当日の気分次第と成行きにまかせて、訪ねる先や宿を決めたいとこなんですけどね。
でも僕は自由が過ぎると何も考えなくなり、行動力が落ちてしまいます。だったら制約を設けて自分を追い込むしかない。そこまでしてやっと集中力と工夫が生まれてきます。
我ながら完璧、完璧すぎるｗ どうしてこれを仕事に生かそうとしないんだろうヽ(ﾟ∀｡)ﾉｱﾚ？
次に訪ねる先はExit 252のランプを下った、ウィンズロー(Winslow)の町です。

街中のメインストリート、ルート66(2nd St.)沿いに流します。ここはKinsley Ave.との交差点。
窓があるように見えるのは、実は銭湯の書き割りみたく、煉瓦の壁に描かれた絵。
壁の後ろが妙にスカスカしてるのは、最近の火事で建屋が消失したせい。
だまし絵みたいなこの街角が、実はこの町一番の観光スポットです。

ここにはイーグルスが'Take It Easy'で、「I'm Standing on the Corner in Winslow Arizona♪」と歌った記念に設置された、その歌詞通りな銅像があります。
ここのコーナーの名称も「Standin' on the Corner Park」と、そのまんまなのはご愛嬌でしょう。
まあそれはいいのですが、さて、メンバーの誰にも似てない・・
この正体、どこかでドン・ヘンリーだと聞いた事がありますが・・

　／　　 _ノ　　＼
　|　　　 （ ●）（●） 　　どう見ても違うだろ・・・
　.|　　　　 （__人__）　　　常識的に考えて・・・

町中をしばし散歩します。「3大がっかり」の口直しをするつもりではありません。
（じゃあ他の2つは一体何なんだという話もありますが、今はとりあえずスルーします。）
傍に走る鉄路は、貨車が大量に留置されたBNSFのウィンズロー駅。
自分のアパートの近くにもこんな感じの貨物駅があるし、どことなく親近感を覚える風景です。

「名画座」って感じの'Winslow Theater'。
日本ではDVDレンタルやシネコン全盛で、もうこんな所は希少価値です。
こーゆー所で寅さんやってれば観るのにとか思いますが、いくらなんでもそれは無理。
さすがにアメリカ、この時上映してたのは「M:i:III」。
くれシンの「オトナ帝国の逆襲」でも悪くないなとか、妄想は尽きません。

町の教会。夕陽の頃合だからかも知れませんが、やけにノスタルジー溢れる町です。
でも過疎なんでしょうねここ。コンビニなんか見ないし、人が歩いてるのも殆ど見ません。
みんな何処で買い物してるの？一体何処にいるの？
絵に描いたような古風な街角にただ一人・・夢でも見てるような気分です。
ここは「二十世紀博」の会場かよｗ
郷愁のコンボの中、なかなか覚醒しないまま、漫然と散策します。

夕日に映えるウィンズローの三丁目（？）。
ここは妙に居心地が良すぎる。こりゃあ反則だろ・・

重い腰をあげて移動します。Exit 257でI-40に合流、さらに東へ。
想えば遠くへきたもんだ・・
今日はこの町に留まってもよかったんじゃないかと、少し後悔してます。
でも、名残惜しいけどもっと先に進まなきゃ。今日はホルブルックまで行くと決めたんだから・・

19:00すぎ、ジョセフシティ(Joseph City)に到着。
この町に着いたのなら、リジーおばあさんのお土産屋の看板の元ネタ、ジャックラビット・サイン(Jack Rabbit Sign)。これを見にいかねばお話になりません。
しかしI-40と旧街道沿いを2往復しても、どうしたものか一向に見つかりません。
それにもうこんな時間。これ以上同じことしてもダメ、タイムアウト。
この件はまた明日、考えることにしましょう。

肝心のブツは見つからず、その代わりこの町で一番目に止まる物を紹介します。
この、周りに何も無い荒野にデンと聳える巨大な火力発電所、'Cholla Power Plant'。
なんだか、未来少年コナンの「インダストリア」のような存在感です。
この町を訪れるまでは、ここはジャックラビット・サインがあるだけの鄙びた町かと思ってました。
でも実際はこんな発電所や、近代的なトラックターミナルがあったりと、結構今風な町です。
先のウィンズローとは対照的な町に見えるのも、なんだか面白いところです。

ま、今日はイーグルスのメンバーにも会えたことだし（？）、ここは彼らの縁も深いアリゾナだし、しばしトラックターミナルの一角に車を止め、カーステで彼らの曲をかけます。
そう言えば2004年の来日コンサートで、グレン・フライがこの曲を歌う前振りで、こんなジョークを話してたのを思い出しました。
それはもう一歩間違えると、コテコテの寒い親父ギャグでしかなかったのですが、彼らの人となりと真摯な演奏のせいか、観客みなやさしい顔してウケてました。

「うちのカミさんはね、この曲のことを『クレジットカード・ソング』と呼ぶんだ。
僕が買い物する時、カミさんがいつも横にやって来て、耳元でこう囁くのさ・・」

「Take It To The Limit」　（限界（限度額）まで行け！）