Amtrak, Sunset Limited (New Orleans,Louisiana → Los Angeles,California ,Part 2)

背もたれをMaxに倒した状態で（米国人はクレーム言ったりしないらしい・・ ）睡眠を好きに貪り、起きれば異国の線路脇を眺めつつお酒とお菓子を口に運ぶのが、今日と明日のお仕事ですｗ
ダメ人間&デブ製造機( ´)Д(｀)の米国旅客列車の初日の夜の帳、時刻は19時40分。結構街に近づきました。日本の鉄道とは一線を画すアムトラックの車窓を、引き続きお届けしましょう。

ニューオーリンズ(New Orleans)以来久々の大都市。テキサス州ヒューストン(Houston, Texas)。
ダウンタウンの高層ビル群が、これから辿り着く巨大ターミナルを演出している様にも見えます。シカゴのユニオン駅みたいな感じかな？ ワクテカ（ほぼ死語）が止まりません。

ヒューストン駅である。ちょっと待てｗ 日本から直行便も飛ぶ米国屈指の大都市だと言うのに、この場末感、ホームの薄暗さ、うらぶれ具合は一体どーゆー訳なんだよ(；´Д｀)
東ヒューストン駅だとか、主要駅一つ手前の小駅という訳ではありません。ある意味凄いのう・・ こういう日本ではとても考えられない扱いを見ると、アメリカという国がよくわからなくなります。
それでも停車時間が30分程設けられており、少し下車してみようかと考えます。ホームに降りる車両のステップに立つと、自分の号車専属車掌が仁王立ちで「自分の席へ戻れ」と命令口調。何だよくそババアが偉そうに(＃｀皿´) とは言え逆らって降りるのも悪手だし、報復に出発されても困り果てる。言われたとおりにするしかありません・・

ヒューストン駅には定刻より1時間30分遅延で到着。ここを拠点に発着するコミューター・トレインもないし、アムトラックの運行はこのサンセット・リミテッド(Sunset Limited)号の週3往復だけで、常日頃はダイヤを守れぬ運行を繰り返す交通手段に身を預けようという酔狂な奴はいないから、この「秘境駅」的な立ち位置に甘んじているのでしょう。
だがしかしここから先、今までの異常遅延とは考えらぬほど、スピードを出すようになりました。並走するハイウェイの車列を追い越しまくり、体感的には200km/h。まるで新幹線0系のよう。（いや本当にそう思った。）やれば出来る子じゃないかｗ
どうやらここは複線区間。しかも線形がいい。酒を飲みつつ流れる車窓を眺め、至高の一時。

華麗なる速度で約4時間のクルーズの後、再び大都市。ここはサンアントニオ(San Antonio)。
東京→名古屋間に似た距離を飛ばし、なんとここでダイヤ通り0時5分到着。回復しやがったｗ
こちらは打って変わって高層ビルはほぼ皆無。人目を引くのは'The Tower Of The Americas'。1968年の国際博覧会開催時に完成し、当時全米一の高さを誇ったタワーなんだとか。
さてここはこの列車の最重要駅。停車時間はなんと2時間40分ｗ ババアの目を掻い潜って、ホームに降りてみましょう。

ホームに佇んでいると、隣の番線にこのサンセット・リミテッド号と似たような編成が伺えました。こちらは遥々シカゴ(Chicago)からやってきたテキサス・イーグル(Texas Eagle)号。この両編成が連結されるのが、サンアントニオ駅の深夜の一大イベント。
シカゴから3泊4日かけてロサンゼルス(Los Angeles)まで運行されるテキサス・イーグル号こそ、実はアムトラックで一番の長距離ランナー。大陸だなおいｗ
でもここから先はサンセット・リミテッド号として扱われ、庇を貸して母屋を取られる肩身の狭さ。大御所なのに借りてきた猫扱いは一体何なのか? 一人ごつ併結を眺めるのであった(´・ω・｀)

機関車を撮影したくてもっと先頭へ移動しようと試みるものの、「ここから先は駄目よ」と言われ、ここで手を打つ大人の私。
重連で牽引。最初に繋がれた車両には窓がなく、荷物車か電源車だろう事が推測されます。
出発まで2時間半も余裕があるんだから、タクシーでも使って市内の有数観光地、アラモの砦(Fort Alamo)にでも行ってみようと一瞬考えますが、想定外の事態が発生したらと恐れをなし、ヘタレなので大人しくすごすごと車内に引き返すのであったorz

AM2:45、サンアントニオ駅を定刻出発。窓の外は全く縁もゆかりもない、誰かの生活空間。
この先テキサスの西端エルパソ(El Paso)まで、こんな列車に乗らねば決して訪ねる事のない、何が横たわってるのか、よくわからない場所を案内してくれました。
チビチビお酒を飲みつつ、夜ふかしを堪能。いや昼寝してるから寝れないだけかもｗ だがしかしこういう時間、決して嫌いではありません。

しかし通路反対側に座りしメンヘラ婆さんの夜な夜な喚く声がbeatsのイヤホン越しに聞こえて、かなりウザく、熟睡にはほど遠いのが難点(；´Д｀)
相変わらずラウンジカーに逃げ込み、長椅子をベッドにし寝込んでいるマット君ワロタ。
気がつけば白みかけたテキサス州Middle of Nowhereで、長時間停車しままスタック。
折角回復運転できたのに、信号場でもないこんな場所でどうしてこうなってるのか不明ですが、車内放送もなく、あったところで状況が改善されるとも思えず、ただ待つしかありません。
こういう時はチャッチャと寝てしまえばいいのだが、目が冴えるのはどういう訳だ。
2時間半ほど経ちようやく出発。寝入ってるババアこのﾔﾛｰと思いながら1枚。

ちょっと危ない奴を危ないと感じるのは、なにも自分に限った事ではないようで、何度か会話した自分のシート後席のご婦人から、「30分席を外すから、私のこの荷物見ておいてくれない？」とお願いされ、まあいいかと、引き受ける事もありました。
初対面の相手に対し、敢えて自分から声がけし、敵か味方か判断するのはアメリカ人あるある。私も一応それをパスし、このコミュニティ(?)の一員と認められたのでしょう。

それを思うと最初は意味不明にしか思えなかった席の割り振りが、合理的に思えてきました。
たとえ空席だらけでも乗客を分散させず、会話がしやすいように意図的に近い場所に座らせて、擬似的な共同体意識を芽生えさせ、自警、相互監視できる状況を作ってるのではないかと。
またシートの上にはこの様に、乗客毎の行き先を書いた「席票」を車掌が挟んでいるのも特徴。これを見ると同じ行き先の乗客を近くの場所に固めて座らせているのが一目瞭然です。
ロザンゼルス行きの自分としては、横に座る人物も同じ行き先だと分かれば、ちょっとウザくても荷物を失敬され、途中駅で逃げられてしまう事はないだろうと、実際安心感はありました。
だからヒューストンでホームに降りようとしたらくそﾊﾞﾊﾞｱ車掌、「席に戻れ」と言い放ったんだな。犯罪抑止のためのアメリカ的防衛策を垣間見た気がしました(´・ω・｀)

デルリオ(Del Rio)に到着したのは定刻より3時間遅れの8時45分。陽も高くなりにけり。
期せずしてこの路線の面白ポイントをいろいろ拝める事になったので、紹介しましょう。
左側遠方に伺える巨大建造物は、アミスタッド・ダム(Amistad Dam)。この辺りは既にメキシコ(Mexico)国境近く、国境線になっている大河リオ・グランデ(Rio Grande)を利用する、2国間共同プロジェクトとして建造されました。つまりダム中央部が国境線になってるんですね(´・ω・｀)

リオ・グランデを堰き止めて建造した人工湖、アミスタッド貯水池(Amistad Reservoir)を横断する橋梁を渡りつつスナップ。
1969年、アメリカとメキシコ両国の友好の意味で建造された公共事業。ただ水利権というものはそれはもうエゲツないらしく、もう間違いなく早明浦ダムの香川県と高知県と徳島県が抱える、複雑な関係に似た物がここにもあるのではないかと邪推してしまうのであった。

湖を渡り約30分。もう一箇所ここもチェックしておきましょう。
リオ・グランデの支流、ペコス川(Pecos River)の小峡谷を跨ぐように架かる高い橋。これらは本来未明に通過する場所でしたが、列車の大幅遅延の役得と言っていいかも知れません。

遅延も甚だしいのに「これくらいは織り込み済み」とでも言いたげに、長閑な雰囲気が支配する、1人1テーブル独占状態のラウンジカー。
居心地が良いので自分も入り浸り、旅程表を見つつ列車を降りた後のプランを確認します。
ダイヤ上明日AM5:35にロサンゼルス・ユニオン駅に到着予定。そこで再びレンタカーを借りて、ラスベガス(Las Vegas)へ向かう算段ですが、だがしかしこの列車も数時間は遅れる事だろうし、久しぶりにハリウッドを散策したいので、車を借りるのは6時間後の12時にしておきました。
まあ、これだけ余裕かました予定を組んでるから、大丈夫やろ( ゜Д゜)　きっと・・ね・・(；゜Д゜)

なおこのラウンジカーの1階はスナックコーナー。ですので別に食堂車の予約をせずとも、日々の食料やアルコールを調達するのに困る事はありません。
見ず知らずの人と一つのテーブルで飲み食いしつつ、英語で「社交」するのが面倒だと思うと、どうしても足が向かなくなってしまいます。
崎陽軒のシウマイ弁当が食べたいぜ(´･ω･｀) と思いつつ、マフィンとコーヒーで手を打ってると、マット君が数人を連れてやって来ました。
「Hey作者さん、あの婆さんにはみんな困ってるから、何とかする事にした。安心してくれ。」

そうか、まあ良きにはからえ。この列車には鉄道公安の仕事をする人物も乗り込んでいる様子、しばし婆さんの事をヒアリングされる事に。
自分としては婆さんを煮ろうが焼こうが面倒な事はいいから、自分から移動して構わないから、他の車両のコーチシートの空いてる席をアサインしてくれればそれでいいですとお願いするも、結局聞き入れられずに、テキサスの広大な土地を眺め過ごすしかないのであった。

窓の外とGoogleマップを眺めつつ、アメリカ合衆国の広大さを実感するしかない昼下がり。
単線区間が死ぬほど続いて、走れば側道を走る車よりも遅く、停車すれば向こうから牛歩の如くゆっくりやってくる貨物列車をやり過ごすために、30分40分待つのは当たり前。
行程を見るとまだ半分あたり。こんなチンタラした速度で、とても終着ロサンゼルスに明日の朝到着するなんて、もうねぇ・・ 全ーっったく思えないんですｵﾜﾀ＼(^o^)／

まだテキサスは続くよｗ アルパイン(Alpine)駅を定刻より3時間40分遅延の14:16到着（；´Д｀）
あああもうみんな諦めを通り過ぎ、達観してる顔つきだよｗ
なおこの列車にビジネスマン皆無。こんな時間にルーズな列車、仕事で使える訳ないだろJK。グレイハウンドに揺られて移動する客層と同じでしょうか・・ 今は変な意味で注目されてしまったクルーズ船の世界周遊を楽しむリタイアリッチ層も、中にはいらっしゃったようにも見えましたが、ごく一部に過ぎないようです。

ああもしもし？ 悪いんだけどさぁ、迎えにくるの4時間ほど後にしてもらえるかな？
うん・・　列車大幅に遅れちゃってさ・・　たまんねえよもうｗ（苦笑　(ｱｳ

【再掲】今まで映画アウトレイジからセリフを引用、改変した発言には、「アウトレイジ的発言」と注釈を入れてましたが、あまりに多用しすぎるため、今後「(ｱｳ」 と省略させて頂きます。