(The Road to) Spaceport America

ホワイトサンズ国定公園(White Sands National Monument)での砂遊びを適当に切り上げて、US-70を今度はラスクルーセス(Las Cruces)へ、南西方面に進路をとります。
あ、どうでもいい事ですが、前頁でエヴァを例えに出しましたが、それに対してやはりと言うか、読者から反応があり、「(俺の)アスカがそんな事するわけがない」とのお叱りを頂きました。
そうですね・・全くああいうシチュエーション、我々の業界では、ご褒美ですｗｗｗ
それに輪をかけ自虐的な(？)探検を、この先で楽しんでみましょう。詳細は追って説明します。

左サイドは多分雨模様なんでしょう。しかしそれ以上に気になるのは、行く手を阻むように前方に立ちはだかる、サンアンドレス山地(San Andres Mountains)。
これから目指すはあの山々の向こう。US-70は直線を維持しながら、この山々に突入します。

意外にもこの旅初の明確な山越え。登坂中でも長い直線が連続します。めったな事では勾配を緩和するための曲線を設けようとしないのが、大陸的流儀なのかも知れません。
視界に飛び込む山肌は群馬の妙義山を思わせる、ささくれ立った険しい地形なのも、面白い。
眼下に見えるのは、ホワイトサンズ・ミサイル実験場(White Sands Missile Range)の指令施設。
ホロマン空軍基地(Holloman Air Force Base)といい、この界隈は軍事施設が軒を連ねる地域。先ほど訪れた白く乾いた大地がそう思わせるのか、この辺は何となく、デスバレー国立公園(Death Valley National Park)と似たような、土地の使い方をしてる印象でした(´･ω･｀)

山越えが終了すると、その先に横たわるのはラスクルーセスの町。ここよりI-25に乗り換えて、アルバカーキ(Albuquerque)方面の大幹線、I-25北行きに舵を取ります。
ラスクルーセスとはスペイン語で「十字架」を意味する町。感覚的で恐縮ですが、エキゾチックでヒスパニックの薫りのする響きが、もうどうにも「名前萌え」せざるを得ませんｗ
ちなみにここから南に1時間ほど進むとエルパソ(El Paso)、歩いてメキシコ国境を通過できる街。こちらにも興味津々ですが、訪ねる時間的余裕がどうにもなくて、実に残念です(　･ω･)・・

進路を北へ、I-25を進みます。ようやく今日の宿泊予定地、アルバカーキへ向かう局面・・
でもまだ250マイル先、寄り道せずとも4時間弱・・ニューメキシコ(New Mexico)州も相当広いorz
この道にほぼ平行に寄り添うのは、長大なリオグランデ川(Rio Grande River)。同州北方にあるゴーストランチ(Ghost Ranch)に移動する手前まで、暫くお付き合いする事になります。
ですがたまに見えたと思ったら、そんなに流量も多くなく、なんだか名前の割りに貧弱な感じ。
コロラド川もそういう所がありました。おそらく流域一帯が乾燥しているので、かなりの量が蒸発してしまうのでしょう・・

I-25北行き、ラスクルーセスのすぐ先で減速指示の標識が現れ、誘導されるのは、このブース。
「Inspection Ahead」。以前ネバダ(Nevada)州からカリフォルニア(California)州に入った箇所で、農作物の検疫所(Agricultural Inspection)を通過した事がありました。
だったら殆どノーチェックでパスできるかな？と思ったら、銃を携帯した州兵(?)が待機している・・

「何人だ？（この時、数人が車内をくまなくチェック）」
「・・僕一人っす」
「何処に行くんだ？」
「アルバカーキでゲソ」
「ここには何処から来たんだ？」
「日本からきますた」
「じゃなくて、何処を通ってここに来たのかを聞いている・・」
「え、エーット・・（予想より厳しく狼狽）・・さ、さっきホワイトサンズに寄ったんじゃなイカな・・」
「ビザはあるのか？」
「ESTAがあるからビザなんて取ってないです（＾ω＾；）おっおっ・・」
「ビザ持ってないだと！？ちょお前パスポートよこせ。照会する。車を止めてそこで待ってろ！」
((((((ﾟдﾟ|||))))))ﾋｲ--

・・その後事なきを得て、無事に通過できましたが、ちょっとビビリ入ってしまいました。
思い返してみるとこの施設、先ほど通過のUS-70、ラスクルーセス→アラモゴード(Alamogordo)方面にもありました・・ホロマン空軍基地近辺だったので、それ用のセキュリティチェックポイントだろうと考えてましたが、この道の先に、重要な軍事施設はありません。
恐らくこれは、メキシコからの不法移民対策の為の検問所・・国境近辺をドライブする時はこういう事もあるんだと、事前に想定しておきましょう(´･ω･｀)

動揺を抑え、冷徹なドライビングに徹します。
確かに行先はアルバカーキなんですけど、実はこれからちょっと、寄り道をするんです・・
スペースポート・アメリカ(Spaceport America)。ヴァージングループ、リチャード・ブランソン会長がヴァージン・ギャラクティック（Virgin Galactic）社を設立し、世界初の商業用宇宙港を建設した場所は、実はここから少々ダート道を入った、かなり辺鄙な所にあるんですね(´･ω･｀)・・
前売りチケット代は20万ドル、約1千900万円也⊂⌒~⊃｡Д｡)⊃ しかもまだ未就航。物見遊山の見物客もまだおらず、今正攻法で近寄ったところで、ｼｯｼｯと追い返されるのが関の山でしょうｗ

そこで今回の作戦は、「すみませんすみませんトイレ貸して下さい・・」と守衛さんに下手に出て、あのカブトガニにも似たターミナルビルに少しでも入館できれば、目的達成という事にしました。
（別窓で公式サイトにジャンプします）
宇宙飛行船のスペースシップ２も見たいのですが、格納庫の中に入れないと見れないでしょう。そんな非現実な目標は、もう鼻っから、諦めていますｗｗ
今から実践するのは、「貧乏人の、貧乏人による、貧乏人のための(御無礼w )、スペースポート・アメリカへの道講座」。
まあそれはともかく、予習した入り口はExit32の、アップハム(Upham)と表記されたこのランプ。とりあえず、ここで降りてみます・・

ランプを降りるといきなり目の前に横たわるダート道。ここから先がちょっとした「探検」です。
GPSに表示された道の名は'CR-E071'。「CR」とは「County Road」の事。ひとまず郡道E71号と呼びましょう。先ほど超えたサンアンドレス山地とI-25間に横たわる漠然とした荒地の真ん中、このダート道を進んだ先に、人類のネクストステージが横たわるわけですね(´･ω･｀)
不安がよぎる道ですが、事前にGoogleマップできちんとコンディションを推測してるから大丈夫。この先'Upham'と言う名の集落もあり、そこへの生活道路の筈だから、そういう意味でも大丈夫。24でクロエ・オブライエンが「衛星で見張ってます！」と不機嫌に答えるレベルで無問題ｗ
準備万端じゃないかｗ 今の時刻は18時ジャスト。到着予想時刻は1時間後の19:00。
・・さあ・・行きましょう。

ダートとは言え路面はフラットに整地され、決して悪いコンディションではありません。
ただ途中で何箇所か分岐と離合があるようで、これを迷わない工夫が必要となります。
事前にGPSに目的地の座標を打ち込んでおいたので、そこへのルート案内をしてくれますから、自分の場合、その心配はとりあえず不要。
念を入れ、およそ30マイルで進行します。しかし目的地の予想到達時間は、約1時間30分後・・考えていたより、もう少し時間がかかるかも知れない・・やはり不安は隠せません・・
往年の「我々は何故1がこんなスレッドをたてたのか、故郷である群馬県に向かった」のコピペを思い出します。このコピペは軽々しく乱用せず、せめてこういう所で使いなさい(ﾟ�听)
上司に失礼だとたしなめられそうな道を慎重に、車を進めます。

ここは人の気配どころか対向車とすら全く出会う機会のない、名もなきニューメキシコの一角。
こういう道を走ると、時間が長く感じられて仕方ありません・・数度の分岐と合流を繰り返す度、CR-E071からE072、E070へと、GPS上の郡道の名前が変化していきます。
路面状況はまだ良好で、ルート案内が指す道なりに今のところ進んでいます。
まだ、慌てるような時間じゃない（ＡＡ略） ・・が、一体、いつまで走らせるつもりだこんな道を・・焦燥感が次第に強くなってきました（；´Д）

陽が翳ってきました。今は18時30分。GPSを見ると、目的地まで1/3程度しか進めてません・・
今日の日没は19時40分。到達は恐らくその前後でしょう・・ターミナルの撮影とトイレをすばやく済ませて再度I-25に合流するとしても、なんかもうかなり、予定時間を超過してしまいます。
時速50マイルに加速したい衝動が沸々湧いてきますが、抑えます。そんな事したらどんな負担を車に与えるかわからない・・企画が間違っていたかな・・・・前方遥かに続く道に辟易しつつ、少々後悔してると、悪い現実が唐突にやってきました。

耐え難い悪路。この写真はまだマシですが、この先の写真に写らない（写す余裕がない）所で、人の頭と同じくらいの大きさの石が、そこかしこに転がっています。
それに輪をかけて、沈み込むような砂地と化しました。未整地状態。撤退するしかありません。
嘘だろ(lllﾟДﾟ)・・・こんな所でスタックしたら、誰も助けにきてくれないって・・
Uターンできるスペースなんて皆無ですが、何度も小刻みに切り返し、何とかします。ここまで進んでおきながらもったいないなんて、どうでもいい。生きて帰るのが先決(((((((( ；ﾟДﾟ)))))))

いくらSUVだろうが、ああなるともう無理。命にかかわらなくてもレスキュー時にかなりの迷惑を関係各所にかけてしまいますし、それに後からくる請求も、末恐ろしい・・
という訳で企画は見事失敗。名誉ある(?)撤退の後、どうにかI-25に戻ることができました。
貧乏人はトイレすら借りる事ができないのか＿|￣|○ ・・いやそれ以前の問題かも知れませんｗ
耐え難くあるまじき現実。やはりここは、「選ばれし者」か「大金持ち」しか、辿り着けない場所・・辛い現実を受け入れるしかありませんｗ 後はもうひたすらアルバカーキを目指すのみです。

とは言えアルバカーキは飛ばしてもまだまだ3時間以上はかかる距離。休み休み行きましょう。どうせ着くのは深夜なのですから。
先ほどのダート道の基点からI-25を40分程進むと、この先何とも不思議な名の町を通過します。その名もトゥルース・オア・コンセケンシス(Truth or Consequences)。訳すると「真実と結果」。なんとも意味深な・・気になるし、休憩と気分転換も必要。寄ってみましょう。

町中のガスステで給油します。併設のコンビニでヒマそうに店番中の親父に、実に興味深い町の名ですな（ﾟДﾟ)とヨイショしたら、機嫌よくその名の由来を話してくれました。
この奇妙な町名は、かつて放送されていたラジオのクイズ番組からきたもの。その番組のアナウンサーが、「この番組と同じ名に改名してくれる町が出てきたら、そこから生放送してあげる」と放送したところ、この町は本当に立候補しちゃって、そうなった結果なんだとの事・・
（実際はよく聞き取れなくて、後でWeb上で再調査致しました。）
それが真実と結果かｗ 何とバカバカしいｗｗ むしろ知らない方が謎めいた事だったでしょうorz
かつては'Hot Springs'が町の名前。要するに「温泉」。日本ならば改名してでも「なんとか温泉」だの駅名にくっつけるところですが、その逆を行く発想が、いかに風呂・温泉文化をを軽視してるアメリカっぽい思考だなと、思ってしまいました(　･ω･)

ちなみにこの町から延びるNM-51が、公式サイトにも表記されたスペースポート・アメリカへの、唯一正しいゲートウェイ。恐らく今はもう、舗装されている筈です。
今はこの町スタートの、ブレビュー・バスツアー（別窓で開きます）もあるようですね・・
こちらからアクセスすればよかった○|￣|＿ でも距離があるからと横着をした自分が悪い(;´Д`) そこでお願いなのですけども、どなたかこの近くを通りかかった時、もし時間があるようでしたら、このルートを走ってみては頂けませんでしょうか？
このままでは浮かばれません。私の屍（しかばね）を乗り越えて凸して頂ける方、大募集ですｗ